優等生を拒否しました。 再建鶏舎、ようやく完成検査にこぎつけました。 現在の最新鋭・最新式というのは 経済効率 を最優先に機械化を進め、最小限の人手で運営できるようになっています。 そして、利益極大化のため、土地の有効利用ということで、面積あたりなるべく多くの鶏を飼う、ということになります。 こうした鶏舎を業界用語でウィンドウレス鶏舎といい、窓のない真っ暗な室内に必要最低限の人口の光を点け、換気扇は必要最小量を毎日24時間連続運転する。具体的には、鶏を飼う段が3段~8段重ね、通路幅もメンテナンスのために人が通れるギリギリの最小幅。明るさも、鶏どうしが喧嘩しないようなギリギリの照度。(密飼ストレスで、明るいと喧嘩をして相手を殺してしまう場合がある。)そして一度鶏舎に入った鶏は生涯日光を浴びることはありません。 こうした極めて経済効率の良い(高密度飼養)、極めて低コストで生産されているのが現在の市販のたまごなのです。 (30年前には、自然採光・自然換気、1段飼、多くても2段飼い、通路も人手作業が十分の広さだったのですが。) こうした、鶏を経済動物として捉え、徹底的に効率を追求する方式、安価なたまごの生産のためには必要なことであり、否定するものではありません。 しかし、こうした方式、外観は立派な最新鋭工場然としていますが、工業製品ではない、鶏:命から生まれてくるたまご:命 の生産として、なにか違うように思えてなりません。 今般再建した たかはしたまご鶏舎 では、こうした経済合理性に背を向けて、私どもが生業として成り立ちながら、換気・採光等の環境で、《鶏:イノチにとって何が必要か?》 を原点に考えた末、やはり、30年前と同じ方式にたどりつきました。 この30年前の現行方式、建築業者:片桐産業さんにとっても30年ぶりだったそうです。”こんな方式で本当によいのか??” と幾度も問い返されました。近年経験したことのないこの工法、現場の棟梁さんも戸惑っていたようです。 昨今の新築現場では経済合理性第一で、ほとんどが上記のようなウィンドウレス、そうでなくても、2段、3段で給餌・集卵を自動化というのが一般的だそうです。そうした中、当方では、1段飼い・手作業を前提とした開放型。実に無駄??の多いツクリ。30年前と何にも ”進歩” していない、ともいえましょう。 換言すれば、現在のたまごの安価・優等生ぶりは、この30年間の技術の進歩のたまものといえましょう。更に言及するならば、この技術の進歩で多羽数飼育が可能になり、その結果生産過多になり、そして現在の優等生ぶり。 たまごが安価・優等生になった代償として失ったもの、それは、 合掌 高橋尚之 追記:私が30年前の方式に拘るもう一つの理由。 従業員のみなさまに、 そんな想いで仕事をしている私としては、人のいない仕事場というのはどこか違和感を そのための、自然の恵みをたっぷり取り込んだ30年前方式。 以上、施設:ハード面での考察でした。
|